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修理や復元は時間とコストのかかる作業です。芸術品的な製品を頂点にして、様々な様式の額縁があり、作業は一様ではありません。特に手造り品は、その製造者に依頼するのが賢明で、必要な木地や箔、糊といった諸材料が揃っています。
参考例は、ごく一般的に多い隅の開きに対する修理をご紹介しています。『修理が無理なら交換しても良い』とのことで したが、長年親しんできた額縁にも代用がきかない存在価値があるように感じられました。むしろ、マットの染みや作品劣化の対策に課題を感じました。新しい 額縁をおすすめすることは簡単ですが、額は低コスト修理を目指し、作品劣化の進行を抑制するマット仕様への入れ替えを提案。額は、ちきり木片を差し込む固 定様式でしたが、リサイズが僅少で済むVネールの固定加工を選びました。
隅の留めが完全にバラけた状態。移動中などで落下したりぶつけてしまう場合に起こります。
以前、接着剤で補修した跡があり、接着材の凹凸が確認できます。
対角の隅もゆるんで外れています。ちきり片がきれいに残っていましたので、このまま使います。
小口を手動式の留め切り機でごく薄くスライスして、以前塗布されていた接着剤の凹凸を削り落とします。その後、調色した顔料を小口の縁に彩色します。
クランプ締めの準備をしています。専用の糊を塗布した後、あてを設置してしっかり締め付けます。
糊は相手によって化学糊やニカワを用います。
Vネール釘の打ち込みイメージです。この機械はエアー圧縮仕様の組機ですが、デリケートで小型の額には、アナログ組機(ペダルの足踏み)でゆっくりと打ち込みます。
左が裏面にVネールが打ち込まれたもので、右がオモテから見た画像です。
きれいに施工できました。
裏の帯状の白い部分は本体裏板の格子の部分です。黄変色の所は袋状の空間部分です。和額で一般的な裏板仕様です。劣化因子が作品側に移行し、劣化速度を速めます。マット交換をおすすめする理由です。
作品止めテープ糊が酸化して赤く変色しています。この酸化は作品にもそのまま移行しています。
また作品から外れてパラパラと剥離していましたが、コーナーが支えてくれていました。
当店が工房エストより受け継いだRデザインマットとトップマットとの組み合わせです。
Rマット裏面は作品と接触しますので、接触劣化させない素材でカバーしています。
作品側の裏側にはさらにもう一枚の中性ボードを設置したり、ミューズ社のスーパーバリアシート(PAT合格品)を設置します。
最後の裏板はアルミ箔カバーのホワイトボードを使用します。(画像なし)
当店では、これまでも色々な修理をさせて戴きました。古物的な味わいを漂わせるフレームほど、作品にも奥深さを与えてくれる、そのように感じます。 できる範囲でしかお手伝いできませんが、お問い合わせをお待ちしています。
F50号油彩額の表面の剥落や欠損に対する修理依頼でした。画像は下地処理後に調色した塗料を塗布している途中の様子です。
ガラス寄りに設置されている粒状の装飾粒が欠損しています。
画像にはありませんが、成形・着色した同形の粒を製作して設置しました。
ご相談内容はさまざまで、下のような木工製作のご依頼を戴く場合もあります。台風の風で飛ばされ、長い間展示していなかった看板のカバー製作の参考例です。展示面が傾斜を持つ製作物で、自作テーブルソーが活躍した一例です。
カットした板材を接着している様子(背面)ですが、この後、トリマーにて加工します。本体には看板を埋め込むための溝欠きを加工しています。
仕上がりを差し金で確認しているところで、同時にトリマー欠きの位置取りを行なっています。(正面側)
板材の接着は一部を除き、すべてダボ加工にて接合しています。
雄型と雌型の完成です。
画像は未掲載ですが、依頼された方が、完成品を防水を兼ねた着色をされました。
設置イメージです。
設置する柱側に、雄型の部材を固定して、看板本体を埋め込んだ雌型を雄型に差し込んで、一体となるよう設計製作しました。
「額縁が重く、壁面から外れそう」「移動時に落下させて壊してしまった」「重くて出品時の搬入出が大変」といったお話を伺っています。フレームでは、用途によって額縁の軽量仕様をおすすめしています。但し、樹脂製のフレームは確かに軽量ですが、ショックに弱いため移動が多い往復用途には不向きと考えています。構成材料の選択に力点をおいて、安全・軽量・保存性に配慮しています。
既存の額縁で軽量化へのご希望がございましたら、お問い合わせ下さい。全て対応できる訳ではありませんが、可能な範囲でお手伝い致します。